売れるよりも、
愛されるものをつくる。

boco to deco メンバー対談

boco to deco(ボコとデコ)は、ていねい通販が10年ぶりに開発した青汁ブランドです。創業社長・古賀主導ではなく、初めて社員が中心となって生まれた、事業の未来を担う商品。青汁市場に可能性を見出した理由や、農家さんとの出会い、泥臭い試行錯誤を振り返りながら、私たちの仕事の意味を語ります。

Member

  • 戸田 良輝(2010年新卒入社)

    戸田 良輝(2010年新卒入社)

    「ボコとデコ」の商品開発者であり、会社の未来のために新たな一手を生み出す事業責任者。

  • 三好 克明(2014年新卒入社)

    三好 克明(2014年新卒入社)

    商品を起点にお客様との出会いを作り出し、広告効果の最大化を目指すマーケティング部の最高責任者。

  • 池田 実由(2015年新卒入社)

    池田 実由(2015年新卒入社)

    ブランド企画部最高責任者としてブランドの世界観を守り、クリエイティブ全般のディレクションを担当。

  • 濵本 拓人(2017年新卒入社)

    濵本 拓人(2017年新卒入社)

    マーケティング部として広告運用を行いながら、農家さんとのコミュニケーションや連携を中心で担う。

Point

  • ていねい通販は、どんな想いから商品をつくるのか。
  • 各方面から否定された青汁に、どんな可能性を見ていたのか。
  • 想いだけでは届かない現実の中で、なぜ届け続けようとするのか。

01.
商品は、想いから生まれる

— boco to decoの始まりについてお聞きしたいです。最初のきっかけは、どんなところにあったのでしょうか?

戸田 :

商品開発という意味でいうと、一番最初のきっかけは、代表の古賀と参加した会食だったと思います。その場で、マーケティングのパートナーさんから「予算を設けて、社員に新商品を作らせてみてはどうか」という提案があったんです。普通に聞けば、すごく前向きな提案じゃないですか。社員に機会をつくるという意味でも、会社として新しい挑戦をするという意味でも。でも、それに対して古賀が、「予算があるから作る、みたいな商品に、俺は一円も使いたくない」と言ったんです。ただ、その後に「社員が心の底からこれを作りたいと思うものがあるなら、一億でもなんぼでも出したい」と続けていて。その時に、商品ってそれくらいの想いがあって、ようやく生まれるものなんだなと感じたんです。

— かなり強い言葉ですね。戸田さん自身には、どのように響いたんですか?

戸田 :

正直、その時の自分には、まだそこまでの想いはないなと思いました。何か新しい商品を作ること自体は、きっとできるんです。でも、心の底から「これを作らないといけない」と思えるものがあるかと言われると、その時は違った。だから、まだ自分の役割じゃないなと思ったんです。

— その時点では、商品開発が自分ごとにはなっていなかったんですね。

戸田 :

そうですね。どこかで自分がやることではない、と思ってました。でも、古賀の言葉はずっと残っていたんです。商品を作るなら、ただ新しいとか、売れそうとかでは足りない。自分の中に、どうしても作らなきゃいけない理由がないといけないんだなと。

— そこから、「作る理由」に辿り着いた経緯はどのようなものだったんでしょうか?

戸田 :

コロナ禍で、美容師さんから言われた一言が大きかったと思います。髪を切ってもらっている時に、「お仕事は何をされているんですか」と聞かれて、「通販です」と答えたんです。そうしたら、「よかったですね」と言われて。

— たしかに、通販は比較的影響が少ない業界だったかもしれませんね。

戸田 :

そうなんです。もちろん嫌味ではまったくなく、自然に発してくれた言葉だったんだと思います。ただ、そこで「待てよ」と思って。たしかに、会社としては大きな影響を受けていない。働く環境も整ってきている。事業も止まっていない。それ自体は、ありがたいことです。でも、社会全体がこれだけ大きく揺れている中で、自分たちは本当に社会とつながれているんだろうか、という感覚がありました。世の中の痛みから、自分たちだけ少し離れた場所にいるような感じがしたんです。

— その距離感が、引っかかったんですね。

戸田 :

ていねい通販は健康食品の会社なので、本来は、誰かの暮らしや毎日の安心に向き合っているはずなんです。でも、今の自分の仕事が、社会に対して何を返せているのかと考えた時に、どこかで納得しきれていなかった。このまま社会との距離が開いていったら、自分はこの会社で働く意味を見失ってしまうかもしれない。そんな怖さがありました。

— 美容師さんからかけられた言葉と、社長の言葉が重なっていった。

戸田 :

はい。あの時は、「自分にはまだそこまでの想いがない」と思っていました。でも、コロナ禍で社会との距離を感じた時に、何か新しい商品を作りたいというより、今の自分たちが向き合わなきゃいけないものがあるんじゃないか、って気づいたんです。健康食品の会社として、商品そのものに“社会へ還元できる仕組み”がないといけないんじゃないか。そういう感覚が、だんだん強くなっていきました。

— 「作りたい」よりも、「作らなきゃいけない」に近かった。

戸田 :

そうですね。新商品を作ってやろう、という感じではなかったです。自分たちの仕事をもう一度、社会の方へ結び直さないといけないというか。それはきっと自分だけじゃなくて、これからの時代を生きる人たちも、きっと同じように感じるはずだという思いもありました。まだその時点では、boco to decoという名前も、青汁を作るという発想もありませんでした。でも、商品を作る理由だけは、少しずつ自分の中ではっきりしていったんです。

02.
「アホか」と言われた青汁

— 想いの部分が固まっていた中で、どういった経緯で青汁に行き着いたのでしょうか?

戸田 :

最初から青汁を作りたいと思っていたわけではないんです。順番としては、先に「哲学までちゃんと届けたい」という思いがありました。社会に対してどういう価値を返していくのか。作り手として、どんな考え方を商品に込めるのか。そういった想いの部分を、ちゃんと伝えられるものを作りたいと思っていました。ただ、機能の説明もしながら想いも届けるって、かなり難しいんです。商品の良さを理解してもらうだけで、お客様の受け取る余白が埋まってしまうこともある。だから、機能の説明を一からしなくても、すでに社会の中である程度認識されているものがいいんじゃないかと考えました。その時に見えてきたのが、青汁だったんです。

— なるほど!と思いつつ、青汁という選択には、少し驚きを感じるような気もします。みなさんは最初に青汁と聞いた時、どう受け止めたんですか?

濵本 :

僕は、正式にプロジェクトとして動き出す前に、戸田から聞いていたんですよね。「青汁を作りたいと思っている」と。最初は正直、「なんで青汁なんやろう」と思いました。すでに世の中にたくさん商品がありますし、健康食品の中でも競争が激しい印象があったので。でも、戸田から「機能で売るよりも、想いで届けたい」という話を聞いて、少し見え方が変わりました。青汁を作りたいというより、青汁だから伝えられることがあるんだなと。それを理解すればするほど、ていねい通販らしい商品なんじゃないか、と思うようになりました。

池田 :

私も最初は、青汁って聞くと、どうしても“健康のために飲むもの”という印象が強かったです。良いものなんだろうけど、積極的に選びたくなるとか、誰かに話したくなる商品というイメージはあまりなくて。でも、だからこその余白があるのかもしれないとも思いました。もし青汁を、成分や機能だけではなく、見た目や言葉や背景も含めて選びたくなるものにできたら、今まで青汁を選んでこなかった人にも届くかもしれないなと。

三好 :

当時は、商品開発の専門チームが別にありましたし、広告も代理店さんにお願いすることが多かったので、自分たちが商品づくりや届け方の中心に入っていく感覚は、今ほど当たり前ではありませんでした。でも、戸田の言う「哲学で売る」という考え方が通るなら、これは単なる新商品ではなくて、会社として新しい届け方に挑戦する機会になるかもしれない。そう感じたのを覚えています。

— やはり青汁そのものというより、その手前にある思想や届け方に、みなさんが可能性を感じていったんですね。

戸田 :

僕自身も、青汁だから売れると思っていたわけではないんです。でもリサーチを進める中で、「どの青汁を飲んでいますか」と聞いても、多くの人は商品名ではなく「青汁」と答えていたんです。ヨーグルトや飲料ならブランド名が出てくるのに、青汁はなかなかそうじゃなかった。みんな機能で競い合っているけれど、感性で選べる青汁がほとんどない。そこに、自分たちが向き合う意味があるんじゃないかと思ったんです。

— 一方で、代表の古賀さんには、最初からすんなり受け入れられたわけではなかったんですよね。

戸田 :

はい…代表に「新商品を作りたいです。青汁を作ろうと思っています」と伝えに行ったら、最初に返ってきたのが「アホか」でした。

一同 :

(笑)

三好 :

ていねい通販には、「今ない市場を獲る」っていう考え方があるんですよ。すでに競争が激しい場所で勝負するのではなく、自分たちで新しい市場をつくっていく、っていう。

戸田 :

そんな中で、僕が持っていったのが青汁だった。健康食品の中でも、かなりレッドオーシャンと言われる領域です。なので古賀からしたら、「なんでそこなんだ」となるのは当然だったと思います。

— それでも、やはり青汁に可能性があると思えた。

戸田 :

そうですね。青汁という誰もが知っているものを使って、ただ健康に良いだけではない価値を届ける。選ぶ理由を、成分や価格だけではなく、その商品がどんな未来につながっているか、にしていく。そういうブランドを作れたら、健康食品やていねい通販のあり方も、もっと良いものに変えられるんじゃないかと思ったんです。

— そこから、どうやってプロジェクトとして動き出していったのでしょうか?

戸田 :

すぐに大きなプロジェクトとして動き出したわけではありませんでした。最初は「既存のお客様向けでいいので、作らせてください」という形で、小さく始めようとしていました。その間に、boco to decoの思想や戦略をまとめて、何度も古賀に説明しに行って。ただ、その時、古賀自身も別の商品開発を進めていたんです。時間もお金もかなりかけていたプロジェクトだったので、なかなか本格始動っていう意味では難しい状況でもありました。

— やはり思うように進んだわけではなかったんですね。

戸田 :

でも、ある時、古賀がその商品の開発を途中でやめて、突然「boco to decoって、すぐ作れるか」って言ってきたんです。僕が「頑張れば」と答えたら、「boco to decoの方が世の中に必要だ」「だから動け」って。

— 急展開ですね。

戸田 :

はい、そこから急いでこのメンバーをかき集めた感じです(笑)

池田 :

声をかけられた時の言葉自体はあまり覚えていないですね(笑)でも、はじめて資料を見せてもらった時のことは覚えています。名前もロゴも、ブランドの考え方もかなり具体的にまとまっていて。しかも、農家さんとの話もすでに進んでいたんです。だから、「1から何かを考えよう」というより、戸田の中に一つの世界が立ち上がっていて、そこに自分たちが入っていくような感覚がありました。

— 実際に形にしていくとなると、かなり現実的な作業が待ち受けていたんじゃないでしょうか?

濵本 :

そうですね…最初からきれいに進んだというより、本当に一つひとつ確認していく感じでした。農家さんとのやりとりもそうですし、原料のこと、製造のこと、パッケージのこともそうです。

池田 :

まずはパッケージの筒を考えるところから始まりましたよね。リサーチのために、とにかく筒状のものを集めていました。

濵本 :

日本中の筒という筒を買い漁りましたね(笑)

池田 :

カップ麺すら全部「筒」に見えてくるんですよ。

濵本 :

でも、そういう細かいことを一個ずつやるしかなかったんです。戸田の中にある想いを、そのまま商品にするには、見た目も手触りも含めて、ちゃんと合致していないといけないので。

三好 :

そこは、今までの商品開発とは勝手が違ったところだった気がします。機能や成分だけで選んでもらうのではなくて、パッケージを見た時、言葉を読んだ時、手に取った時に、どう感じてもらえるかまで考える必要があったので。

— 想いを届けるためには、より細部まで詰めていく必要があった。

濵本 :

そうですね。僕は、とにかく「確認しておきます」と、出てきたことを拾っていく感じで。製造の話も、クリエイティブの話も、毎日のように全員でしていて。一つもこぼさないようにと思って必死でした。

戸田 :

僕は思いついたことを、グループチャットにずっと書いていました。かなりの量だったと思います。

池田 :

引くくらいの量でしたよ!(笑)

濵本 :

でも、それを実現できるかのどうかを確認していくのが、自分の役割でもありました。想いだけでは商品にならないので。農家さんに聞く、メーカーさんに確認する、できる形を探す。その繰り返しでした。

03.
「事実」に出会う

— その中でも、農家さんとの出会いは特別なものだったのでしょうか?

濵本 :

大きな経験でしたね。原材料である“明日葉”の栽培をお願いする相手というだけではなくて、boco to decoが何を大事にすべき商品なのかを、自分たちが教えてもらうような時間でもありました。

戸田 :

生産地の永源寺マルベリーさんに初めて行った時、とにかく衝撃を受けたのが明日葉でした。僕は野菜だと思っていたので、それなりの大きさを想像していたんです。でも、テーブルの上に2メートルを超える明日葉が置いてあって。しかも、木刀みたいに固いんですよ。

— 想像していた明日葉とは、まったく違った。

戸田 :

全然違いました。生命力がすごいんです。見た瞬間に、これはただの原料ではないなと思いました。

池田 :

農家さんも、明日葉のことを本当に嬉しそうに話してくれて。「一個一個形が違うでしょう。明日葉それぞれに個性があるんだよ」って。まるでわが子を見るように話していて。その姿を見た時に、「これをありのままお客様に伝えればいいんだ」と思いました。何かを飾りつけたり、必要以上によく見せたりしなくていい。嘘をつかなくていいものを届けられるって、作り手としてすごく幸せなことだなというのは、今でも強く感じています。

三好 :

同じ滋賀県にあるお茶農家さんとお話しした時のことも印象に残っています。その方が、「自分たちが使った水は、全部琵琶湖に流れて、そこから関西へ行く。だから、この水を汚さない」と話してくださったんです。その言葉を聞いた時に、すごいなと思いました。環境に配慮しているという説明ではなくて、その土地で生きている人にとっては、それが当たり前の感覚なんですよね。

— 商品を作るための原料というより、その土地の考え方に触れていった感じですね。

三好 :

そうですね。boco to decoを通して、何を届けるのかを考えた時に、明日葉はもちろんですけど、そういう作り手の姿勢や土地に根付いている価値観まで含めて届けたいと思いました。

池田 :

産地に通ううちに、自然と「滋賀を盛り上げたい」という気持ちも出てきましたよね。

濵本 :

本当にその通りで、最初は良い原料を探すというところから始まっていたと思うんです。でも、知れば知るほど好きになっていったというか。永源寺マルベリーさんが潤うことが、結果的に滋賀にも還元されていく。boco to decoを届けることで、そういう良い循環が少しでも生まれたらいいなと思うようになりました。

— 農家さんとの出会いによって、このプロジェクトが目指すものも広がっていったんですね。

戸田 :

出会った事実が、自分たちのやりたいことを広げていってくれた感覚は間違いなくあります。僕は、原稿を書く時も、コンテンツを作る時も、「事実を書くだけでいい」と言い続けてきました。今の世の中って、何かをよく見せるために盛ることが普通になっているところがあると思うんです。でも、農家さんと出会って、事実を伝える方が絶対に強いと感じました。明日葉の生命力も、農家さんの言葉も、水を汚さないという土地の感覚も、こちらが飾らなくても十分に魅力的で。むしろ飾った瞬間に、弱くなってしまう気がしたんです。

池田 :

boco to decoは、ただ商品を売るために言葉を作るのではなくて、出会った事実をどうすればそのまま届けられるかを考える必要がありました。見せ方を考える時も、そこはずっと意識していて。きれいに整えることは大事なんですけど、きれいにしすぎて実感がなくなるのも違う。農家さんの言葉や、畑で見たものの手触りがちゃんと残っているかは、すごく大事にしていました。

濵本 :

農家さんと話していると、「こう見せたい」よりも「ちゃんと伝えたい」という気持ちの方が強くなっていきました。こちらの都合で変に良く見せるのではなくて、自分たちが見たもの、聞いたことを、お客様にもできるだけそのまま届けたいなと。

三好 :

その感覚は、後の広告やクリエイティブにもつながっていったと思います。どう売るかを考える前に、まず何を守って届けるかがあった。そこが、boco to decoらしさの土台になった気がします。

04.
自分たちの手で届けるしかない

― その土台ができたうえで、次に考えるのは「どう届けるか」になっていくんでしょうか?

三好 :

そうですね。まずは広告や販売の部分で協力いただくために、複数の会社さんにboco to decoのコンセプトや戦略を説明して回っていたんです。

— 反応はどうでしたか?

戸田 :

正直、かなり悪かったです(笑)

三好 :

難しかったですね。商品として悪いと言われたわけではないんですけど、哲学ごと理解してもらって、そのまま実行してもらうことの難しさを痛感しました。

戸田 :

話している途中で、「これは共感されていないな」と感じることも多かったです。感想をもらう前に、「こうした方がいい」という改善案が返ってくるんです。それもこれまでの通販の常識としては正解だとは思ったんですが、その改善案に従ってしまうと、boco to decoで大事にしたいものが抜け落ちていってしまう感覚がありました。

― 売るための方法に寄せるほど、守りたいものから離れていく。

三好 :

もちろん、売るために欠かせない視点はあります。でも、boco to decoの場合は、売るためのアプローチと哲学を薄めてしまうことが、すごく近いところにあった気がするんですよね。

池田 :

ただおしゃれそうとか、ただ健康に良さそうとか、そういう方向にはしたくなかったんです。ちゃんと理由があるものとして届けたかった。だからこそ、外から見たら細かすぎるようなところにも、なかなか譲れないものがありました。伝わりやすい言葉に変えた瞬間に、農家さんの姿勢や、私たちが現場で受け取ったものが欠けてしまう。それは違うよね、という感覚がチームの中にありました。

三好 :

最初から「内製でやろう」と決めていたわけではないんですけど、進める中で、自分たちでやらないと届けたい形では届かないんだと分かってきました。自分たちで言葉を選んで、自分たちで見せ方を考えて、届けていくしかなかった。

戸田 :

結果的にはそれが、その後のていねい通販のあり方に大きく影響した出来事だったと思っています。

濵本 :

そう思います。boco to decoは、単なる新商品ではなくて、ていねい通販が自分たちの手で届ける文化を作っていくきっかけになったと思います。プロジェクトを進める中で、「自分たちでも運用できるんだ」「自分たちの言葉で届けられるんだ」という感覚が少しずつ生まれていきました。

戸田 :

新しい当たり前が、ここから始まった感じですね。

三好 :

正解が全く分からなかったので、最初はめちゃくちゃ不安でしたけどね。

― その中で、最初に手応えを感じた瞬間はありましたか?

三好 :

自分が覚えているのは、インフルエンサーの方たちにプロモーションのご依頼をし始めた時です。正直、最初はどう受け取られるか分からなかったんです。青汁という商品でもありますし、こちらが大事にしている背景や思想まで、ちゃんと伝わるのかなという不安もありました。でも、実際にお話ししてみると、すごく前向きなお返事をいただくことが多かったんです。

池田 :

それは印象的でしたよね。

三好 :

中には、こちらからお願いする前に「この商品を紹介したい」と言ってくださる方もいて。そういう反応を見た時に、boco to decoは自分たちだけが良いと思っている商品ではないんだと感じました。

― 受け取る側の人たちにとっても、伝えたい商品だった。

三好 :

はい、そこは大きかったです。その時期は、フロント商品「すっぽん小町」の売り上げも伸び悩んでいた時期ではあったので、私たちの中では「これはていねい通販にとって、希望になる商品かもしれない」という感覚がありました。でも、僕たち社員以外の方も自分の言葉で伝えたいと思ってくれた時に、その希望が少しずつ確信に変わっていった気がします。

池田 :

ただ商品を紹介するというより、「この考え方を届けたい」と受け取ってくださる方がいたのは嬉しかったです。

濵本 :

農家さんのことや、原料のことも含めて共感してもらっているのを見ると、ちゃんと形にしてよかったなと思いました。現場で聞いたことをこぼさずに届けたいと思っていたので、それが少しでも伝わっていると感じられたのは大きかったです。

三好 :

でも、本当の意味で届いたかどうかは、やっぱりお客様の声を聞くまで分からなかったです。インフルエンサーの方たちの反応で手応えはありました。でも、それがお客様の暮らしの中でどう受け取られるのか。そこは発売後に初めて分かっていきました。

05.
暮らしの中から返ってきた声

― 発売後には、どんな声が届いたのでしょうか?

戸田 :

印象に残っている声はいくつもありますが、特に覚えているのは、ご家族でboco to decoを飲んでくださっているお客様の声です。育ちざかりのお子さんの野菜不足が気になって、疲れている日でも「あと一品、あと一品」と食事を作っていた方で。でも、boco to decoに出会ってから、肩の荷が下りて、心が軽くなったという声を寄せてくださったんです。

―「心が軽くなった」というのは、まさに生活の実感につながる言葉ですね。

戸田 :

そうなんです。「大切な人と一緒に飲めるものにしたい」というのは、最初から思い描いていました。お母さんやお父さんが飲んでいるものを、子どもが欲しがった時に安心して渡せる。家族の中で、誰か一人だけのものではなく、みんなでシェアできる。そういう商品にしたいという思いがあったので、成分もできるだけシンプルにしたかったんです。

池田 :

「家族との会話が増えた」という声もありましたよね。

戸田 :

それは、本当に嬉しかったね。ていねい通販では昔から、「自分の心が満たされた分、他の誰かに優しくできる」という考え方を大事にしてきたんです。誰かの心が少し満たされて、家族の会話が増える。そういうことは想像していた。でも、boco to decoによって、栄養バランスを考える負担が少し軽くなって、その分、会話に気持ちを向けられるようになる。そんなふうに、理想としていた考えが直接的に暮らしへつながるなんて。正直、発売前はそこまでイメージできていませんでした。

― 開発前に思い描いていたものが、お客様の暮らしの中から返ってきた。

池田 :

商品って、届いたら終わりではなくて、そこからその人の生活の一部になっていく。もちろんそこを見越して開発をしてきたんですが、本当の意味で「誰かの毎日を豊かにできているんだ」という実感を得たのは、やはりこういった様々な声をいただいてからでしたね。

戸田 :

しかも、自分たちが想像していた範囲を超えて届いている部分もありました。アレルギーがあって、普段なかなか友達と同じものを食べられないお子さんが、「boco to decoなら飲める!」と飲んでいる姿を見て、親御さんが泣きそうになりながら喜んでくれたそうで。「大切な人と一緒に飲めるものにしたい」と考えていたからこそ、そういうところにまで届いたのかもしれないと思いました。

濵本 :

自分たちが作ろうとしていたものは、ただの青汁ではなかったんだなと。誰かの食卓や、家族の会話や、安心して渡せる時間に関わるものだったんだと、発売後の声を通して教えてもらった気がしますよね。

06.
想いだけでは届かない

― 一方で、発売後に難しさを感じる場面もあったのでしょうか。

戸田 :

ありましたね。boco to decoは、お客様の数をもっと増やしたいとか、単純にもっと売りたいとか、ただ数を追えばいい商品ではないと思っていて。もちろん必要としてくださる方には届けたいっていう気持ちはあるんですが、届けるためには、自分たちの軸がブレないことや農家さんとの関係が続いていくこと、そして何より、原料である明日葉がしっかり用意できるってことが前提になるんです。

― 届けたい気持ちだけでは、届けきれない。

濵本 :

そこはすごく感じています。新しくお客様に届ければ届けるほど、在庫が減っていくという葛藤がありました。嬉しい悲鳴ではあるんですけど、物がないと、どれだけ思いがあっても届けられないんですよね。最初に永源寺マルベリーさんの明日葉が酷暑で収穫できなくなった時、別の農家さんを回らせてもらったことがあって。その時に、三宅島の農家さんから「結局どこまでいっても、物がないと、お客様には届けられないからね」と言われたんです。その言葉は、すごく残っています。

― 実際に、明日葉が足りないという現実に直面したわけですね。

濵本 :

はい。商品を作る前は、思いがあれば何とかなると思っていた部分もあったかもしれません。でも、実際にはそうではなくて。どれだけ良いブランドを作っても、どれだけ伝えたいことがあっても、物がなければ届かない。そんな当たり前の重さを、発売後に改めて感じました。

三好 :

広告や届け方を考える側としても、そこは大きかったです。反応があるからもっと届けたい、という気持ちはもちろんあります。でも、届ける量だけを増やしてしまうと、農家さんや原料の現実とずれてしまう。boco to decoは、作り手の姿勢や土地との関係も含めて届けている商品なので、そこを無視して広げることは、やっぱりできない。

池田 :

だからこそ、急いで大きくするよりも、ちゃんと続いていく形を考えないといけないんだと思います。お客様の声を聞くほど嬉しいですし、もっと届けたいと思う。でも、それが農家さんや商品に無理をかける形になってしまったら、最初に大事にしていたものと違ってしまうので。

― しっかり届いたからこそ、次の責任も生まれていった。

戸田 :

boco to decoのようなブランドを、もっと世の中に当たり前にしていきたいという思いはあります。ただ、そのためには、自分たちがちゃんと成果を出さないといけない。思いだけでは価値観は変わらないですし、続いていかない。お客様に丁寧に届け続けることと、事業として成立させること。その両方をやっていかないといけないと思っています。

― 商品をつくる前に必要だった想いや覚悟が、届け続ける中で改めて意味を持ってきたんですね。

戸田 :

最近になって、古賀があの時に言っていた「想いがあるなら一億でも出す」という言葉の意味が、より分かるようになってきました。商品をつくって、届け続ける過程では、辞める理由って本当にいくらでも出てくるんです。周りから「売れないよ」と言われることもあるし、実際に思うように売れない時もある。もしboco to decoが、ただ予算があるから作った商品だったら、きっとどこかで諦めていたと思います。でも、これは想いでつくっている商品だし、お客様を笑顔にできると信じている。農家さんの顔も浮かぶ。だから、苦しい時でも自分自身が奮い立たされるし、周りを巻き込んでもう一度進もうと思えるんです。
 覚悟や想いがない商品が、これから売れなくなっていく理由は、そこなんだと思います。売れなかった時に踏ん張れないし、届け続ける理由を持てない。だからこそ、商品をつくる前に「なぜこれをやるのか」が必要なんだと、今はすごく感じています。

― 次が最後のご質問になります。今回の採用サイトでは、「優しさを未来へ」という言葉をコンセプトに掲げています。それを受けて、このチームが今後も大事にしていきたい、残していきたいものはなんですか?それでは、チームを代表して…濱本さんお願いします!

濵本 :

僕は、良いものって、思っているだけでは残っていかないんだなと感じています。最初に永源寺マルベリーさんを訪ねた時、ちょうど種の収穫のタイミングだったんです。その場で戸田が「ここに決めた」と言って、種を収穫してもらって、翌年の明日葉の栽培につながっていきました。でも、もしあの時に決めていなかったら、その種は収穫されていなかったかもしれないし、翌年の栽培もなかったかもしれない。誰かが「良い」と信じて動かないと、残らないものがあるんだと思います。だからこそ、自分たちが本気で伝えたいと思える事実に出会うことは、すごく大事だと思っています。頭の中だけで「良いことをしたい」と考えていても、なかなか続かない。でも、実際に農家さんに会って、明日葉を見て、その人たちの言葉を聞くと、「これは届けないといけない」と思える。その事実が、自分たちを動かしてくれるんです。

就活をしている方にも、そういう出会いを大事にしてほしいなと思います。最初から大義名分がなくてもいい。自分の目で見て、話を聞いて、「これはちゃんと伝えたい」と思えるものに出会えたら、それが仕事の理由になっていくと思うので。僕たちも、そういった一つひとつの出会いを大切に育んでいきたいと思います。

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boco to decoが目指す未来と、その葛藤。

by 戸田・池田・濵本