ブランド企画部

問い続けることが、
優しさになる。

ブランド企画部で、お客様にお届けしている冊子「間 awai」の編集長を務める板橋。創業間もない頃から続く月刊誌を受け継ぐ中で、今のお客様に届けるべきものを問い直してきました。お客様のことを簡単に「わかる」と言わず、想像し続ける。その姿勢から見えてきた、寄り添うことや優しさの形を聞きました。

板橋 今日子<span>(いたばし きょうこ)</span>

ブランド企画部

板橋 今日子(いたばし きょうこ)

2022年に新卒入社し、ブランド企画部に所属。これまでお客様へ商品と共にお届けしていた冊子をリニューアルし、編集長を務める。その他、ポッドキャストやSNS運用など、様々な施策に従事。

思いを形にする仕事がしたかった

まず、現在のお仕事について教えてください。

ブランド企画部は、出会ってくださったお客様と「一日でも長いお付き合い」が続いていくことを目指して、様々な企画や制作を行っています。通販会社と聞くと、注文した商品だけが届くイメージかもしれませんが、私たちはそうじゃないんです。お客様の喜ぶ顔を想像して、商品と一緒にちょっとしたおまけや月刊誌を同梱したり、公式サイトやSNSなどいろんな手段を通して、ていねい通販がどんな想いを大切にしているのか、ブランドの在り方を表現していくような仕事です。その中でも私は、お客様にお届けしている冊子「間 awai」の編集長として、企画や制作ディレクションを主に担当しています。

入社当初から、ブランド企画部に配属されたんですか?

はい。配属が決まった時、すごく嬉しかった記憶があります。昔から、エッセイや小説を通して「言葉」に影響を受けることが多く、人の暮らしや考え方に触れるのが好きでした。私自身も文章を書くことが好きで、普段からSNS上に写真や文章をアウトプットしていたのですが、就活生当時、たまたまていねい通販の採用担当の方が、その投稿を見てくださって。それが、採用のご縁のきっかけのひとつになったとも聞いています。
そういった制作や編集に関わる仕事がしたいと思って就職活動をしていたので、会社の想いやブランドを形にする仕事に強く惹かれました。

好きなことが仕事に繋がったんですね。そうなると、仕事とプライベートの境界線が曖昧になりませんか?

たしかに最近は、仕事とプライベートがすごく混ざり合っている感覚があります。最初はそれが悩みでもありました。休日も仕事のことを考えてしまうのは、切り替えが下手だからなのかなと思っていたんです。でも今は、仕事以外の時間に見たものや感じたことが仕事のアイデアになることも多くて。仕事を仕事としてだけ捉えるより、充実感を抱くことができています。とはいえ、なかなかアイデアが浮かばずに行き詰まることも多いですし、編集長という立場のプレッシャーも日々感じています。

ていねい通販の月刊誌の始まりは、創業間もない頃だったそうですね。そんな歴史ある月刊誌の編集長を引き継いだのは、いつ頃だったのでしょうか。

入社3年目の終わり頃です。当時の編集長を務めていた先輩に、自分から「やらせてください」と伝えました。先輩から「やってほしい」と言われたことはないのですが、ていねい通販には、年次関係なく“挑戦する人を応援する文化”があるので、たぶん私が自分から言うのを待ってくださっていた部分もあったと思います。私自身も中途半端な気持ちで名乗り出てしまうと、ただ締め切りに追われるような向き合い方になってしまう気がして。やるなら、自分の意思を固めてから伝えたいと思っていました。

編集長になってから、仕事の見え方は変わりましたか。

大きく変わりました。編集長になる前は、編集チームの一員として、紙面の中の一部を担当させてもらう形だったので、とにかく毎月の担当ページをしっかり作っていく感覚が強かったんです。でも編集長になってからは、この冊子をどういうものにしていきたいのか、ていねい通販の中でどんな存在にしていきたいのかを考えるようになりました。より未来のことや、ブランドそのものについて考えられるようになったことが大きかったです。

目の前の制作物だけではなく、その先を考えるようになった。

そうですね。正直それまでは、担当ページの試行錯誤や締め切りで精一杯な部分もありました。でも、あえて商品にプラスしてお送りするこの月刊誌が、お客様との関係の中でどういう役割を担うのかを考えるようになってから、やりがいの感じ方が変わった気がしていて。自分が心から力を入れたい、熱中できると思えた時に、ぐいっとエンジンがかかった感覚がありました。

本当に月刊誌は必要なのか

月刊誌のリニューアルは、どのように考えていったのでしょうか。

まずは一度、ゼロベースで考えてみようと思ったんです。これまでこうしてきたから、ではなくて、もし何もなかった状態でも、ていねい通販はお客様に月刊誌を届けるべきなのか。本当にこれは必要なのか。そこから考え直しました。

歴史があるものだからこそ、問い直すのは勇気がいりそうです。

すごく葛藤はありました。ていねい通販の月刊誌は、商品のご購入を促進するようなカタログやキャンペーンを掲載しているものではなく、お客様にどうすれば喜んでいただけるかを考えて生まれたものなので、直接的な利益に繋がるものではないんです。それでも、創業間もない頃からずっと続いているのは、これまでの先輩たちが、守り、繋いできた想いがあるからだと思っています。時代に合わせて、少しずつ形を変えながら受け継がれてきた月刊誌は、リニューアル前は「やさしさ結び」という名前で、前編集長が考え抜いてたどり着いた大切な形でした。その先輩の姿を見て、今度は自分が今のお客様に向けて、心から嘘なく言葉を紡ぐ立場に立った時に、「優しさ」という言葉をそのまま使うことに少し引っかかりがあったんです。

具体的に、どういった違和感があったのですか?

優しさって、本当に正解がない言葉だと思うんです。月刊誌をお送りすること自体、もしかしたら誰かにとっては負担になるかもしれない。実際お客様が、どんな表情で読んでくださっているかは見ることができないし、「冊子は必要ないから、その分料金を安くしてほしい」というご意見をいただいたことも、過去にはありました。優しさを結んでいきたいという思いは、ていねい通販が信じてきたものでもあります。でも、それがお客様が本当に求めていることなのかを、自分の言葉で説明できるようになりたかったんです。

そこからたどり着いた「間 awai」という形には、どんな想いを込めたのですか?

「間 awai」という言葉には、白黒つかないものや、はっきりしないものをそのまま受け止めるという意味があります。日々の中には、良いことも悪いこともあるし、ポジティブな気持ちだけではいられない時もあります。そういう毎日の中に、この冊子が心地よく溶け込めたらいいなと思いました。結果的に、月刊誌を通して優しさが結ばれていったら嬉しいですが、まずは優しさの手前にあるものを表現してみたいと考えるようになったんです。

わからないまま、想像し続ける

冊子を作る中で、お客様に寄り添うことについても悩まれたと聞きました。

はい。ていねい通販の月刊誌である以上、自分が好きなように作る自主制作のものとは違います。どれだけ自分が「これだ」と思っても、相手に届かなかったら作る意味がない。だから届ける先のお客様を想像するんですけど、考えれば考えるほど、「お客様って誰なんだろう」と思うようになりました。例えば、お客様に向けて「この10年、どんな10年でしたか」というアンケートをとったことがあるのですが、お子さんが生まれたことや、親御さんの介護のことなど、いろいろな人生が書かれていて。どれも私がまだ経験していないことばかりです。そんな方々に対して、「そのつらさ、わかります」とは絶対に言えないと思いました。本当の意味でお客様のことを想像することは、今もできていないかもしれません。

それでも、届ける言葉を探さなければいけない。

はい。だから、わからないなりに、お客様と自分が繋がるところをひとつでも見つけたいと思いました。育児や介護の経験はなくても、自分らしく生きたいのにそうはいかないことや、目まぐるしい日々の中で自分のことが後回しになる感覚、誰かのせいにしたいわけではないけれど、なんとなくモヤモヤする気持ちは、自分にもあると思えたんです。具体的な経験は違っても、言葉にならない気持ちや、ままならない日々は、きっと誰にでもある。そして、そこにかけがえのない美しさもある。そういうことなら、自分も嘘なく言えるかもしれないと思いました。お客様のことを全部わかっているとは言えない。でも、わからないまま想像し続けることはできる。それが今の自分にできる、お客様への寄り添い方なのかもしれないです。

通販というお客様の顔が直接見えるわけではない距離感の中で、想像するのは難しくはないですか?

ていねい通販では、お客様に直接お会いできる機会を年に数回設けているんです。その中で「ランチ会」という、複数名のお客様と一緒にランチをしながらお話するイベントがあって、入社1年目の時に、実際にお会いしたお客様がいたんです。その方が、3年ほど経ってから「ランチ会の写真を今も冷蔵庫に飾っています」とハガキをくださって。ちょうど私が、お客様のことがわからないと悩んでいた時期だったので、その方にお手紙を書いてもう一度お会いしたいとお伝えさせていただきました。
有難いことにご快諾いただき、再会して改めて感じたのは、ていねい通販は商品だけを届けているわけではないんだということです。毎月の冊子や、ちょっとしたおまけを本当に楽しみにしてくださっていることを、生身のお客様が、その方自身の言葉で話してくださったんです。それを聞いて、これはなくしてはいけないなと商品だけでつながっている会社で終わりたくない、と強く感じました。今でも表現に迷った時や、どちらがいいか悩んだ時に、お客様の顔が浮かびます。お客様が悲しまないようにしたい、と思うんです。冊子を作る意味を、いつも思い出させてくれる存在なので、心強いですね。

お客様のことを想像しながら制作した「間 awai」、読んでくれていると嬉しいですね。

リニューアルするにあたって、その方にはとくにいろいろとお話を伺わせていただいたので、感謝の気持ちも込めて、できあがってすぐ、お送りさせていただきました。そしたら「ついに編集長!」とすごく喜んでくださって。その言葉も、本当に嬉しかったです。

なんとなく、では届けない

リニューアルを進める中で、社内でもいろいろな意見があったではないでしょうか?

ありました。これまでのものを否定するようなことは絶対にしたくない。でも変えるからには、変える理由がある。その理由を社内の皆さんや、これまで制作に携わってこられた先輩方に伝える時は、すごく言葉を選びました。より良いものを作りたいからこそ、打ち合わせが少しピリッとした空気になることもありました。

自分の考えを信じる難しさもありそうです。

構想期間としては、最初の号ができるまでに1年くらい考える時間があったんですけど、その間はずっと、昨日考えたことを今日疑って、今日考えたことを明日また疑うような感覚でした。自分がこう思う、ということに絶対の正しさはない。だからこそ、どこまで信じ抜けるかが難しかったです。だから、いろいろな人に話を聞きました。チームの方だけではなく、コールセンターで普段からお客様の声を聞いているアルバイトさんにも時間をいただいて。大阪だけでなく、福岡や沖縄にいらっしゃるビジネスパートナーさんの元にも足を運んで、「間 awai」という言葉やコンセプトに対して、自分がお客様だったらどう感じるか、違和感があるかを聞かせてもらいました。

自分ひとりで抱え込まなかったんですね。

もしひとりで考えていたら、自分の想いだけが空回りして、うまく形にはならなかったかもしれません。でも、いろいろな人と壁打ちをさせてもらって、ていねい通販で長く働いている方の意見も混ざっていく中で、自分の言葉で伝えられることが増えていきました。前の編集長とも、お互いの主張がぶつかり合うくらい、たくさん話をさせてもらいました。それもすごくありがたかったです。

制作の中で、最後に「これでいこう」と判断する基準はありますか。

しっかり考え続けると、「これしかない」と思える瞬間があります。例えば、毎号変わる表紙の写真ひとつでも、いろいろな候補があってすごく迷います。でも、「間 awai」とは何なのか、ていねい通販が届けたいことは何なのかを考えていくと、考えれば考えるほど、たどり着くところがあるんです。どっちかわからないけど、なんとなくこっちかな、では進めたくありません。一旦寝かせたり、社内の人に「どちらがピンときますか」「どちらがときめきますか」と聞いたりしながら、自分の中で「これしかない」と思える感覚まで持っていきます。皆さんが率直に意見を言ってくださる環境もありがたいです。

自分の考えを、説明できる状態まで持っていくんですね。

なんとなくとか、無責任なことはしたくなくて。一つひとつ、自分の言葉で説明できる状態でいたいと思っています。提案する時も、迷いや反論がある中で、それでも自分が責任を持ちますと言えるくらい考えられているかは大事だと思います。先輩がやっていたからやるのではなく、自分が信じるからやる。そこまで落とし込めたから、怖いもの知らずに近い気持ちで進められたのかもしれません。

今を疑いながら

最後に、今回の採用サイトでは「優しさを未来へ」という言葉をコンセプトに掲げています。板橋さんは、この先どんなことを大切にしていきたいですか。

優しさを、しっかり問い続けられる人でいたいです。私は「優しさ」という言葉にすごく悩みました。何が優しさなのか、誰も正解を持っていないと思いますし、これからもずっと考え続けないといけないことだと思っています。もしかしたら、今を一番疑わないといけないのかもしれません。

今を疑う、ですか。

はい。今あるものをそのまま正解にしてしまうと、どこかで止まってしまう気がします。私は今、冊子の制作に全力を注いでいます。でも、この冊子が合わない時代が、もしかしたら来るかもしれない。だから、表現の仕方は常に考えていきたいです。具体的にこれを残したいというより、一緒に考えながら、みんなで考え抜いた先に、結果としてこういうものができた、という方が近い気がします。

問い続けること自体が、板橋さんにとっての誠実さなのかもしれません。

そうかもしれません。この仕事は、クリエイティブなことに興味のある方にとっては、自由に好きなことをさせてもらえる場所に見えることもあるかもしれません。でも、売上に直接つながるものではなかったり、評価や結果が見えづらい部分もあります。だからこそ、自分で自分に喝を入れ続けるくらいの感覚でいないといけないなと思っています。優しさを形にする仕事だからこそ、その優しさが本当に誰かに届いているのかを、これからも疑い続けたいです。

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通販の枠を超え、届けたいこと。

by 板橋・野口